ヴィレッジヴァンガード(通称ヴィレヴァン)は、一時期は全国に400店舗を展開し、独自のサブカルチャーを発信する書店・雑貨店として多くのファンに愛されていました。
しかし、現在ではその店舗数が300店舗ほどまで減少し、約100店舗が閉鎖されています。経営も右肩下がりで、大赤字を計上する状況が続いています。この大規模な閉店の背景には、2つの大きな要因があります。
1. ショッピングモール出店で「ヴィレヴァンらしさ」が消失
ヴィレヴァンが他の店舗と一線を画していたのは、雑多でカオスな店内、独特な商品ラインナップ、そして何が出てくるかわからないワクワク感でした。
しかし、出店戦略の一環として、ショッピングモールなどの商業施設への進出を決めたことが、ヴィレヴァンの個性を徐々に薄れさせる結果となりました。
ショッピングモールは、効率的な動線設計や規制が厳しい環境で運営されることが多いため、ヴィレヴァンが持っていた独自のレイアウトや商品陳列が制限されてしまいます。
結果として、「探している商品が偶然目に留まる」というサプライズ性が減り、普通の雑貨店に近い店舗が多くなりました。
また、モールの客層に合わせるために、商品選定が大衆化し、ヴィレヴァン独特のサブカル商品が減少したことも大きな打撃となりました。
これによって、コアなサブカルファンが離れてしまい、ヴィレヴァンを訪れる目的が薄れてしまったのです。
2. 店員のサブカル知識の低下が「普通の売り場」を作り出す
ヴィレヴァンのもう一つの魅力は、個性豊かな店員たちによる「手作り感のある売り場作り」でした。
店員の多くがサブカルやポップカルチャーに精通しており、自分の趣味や知識を活かして独特な商品セレクトやポップを作成していました。
しかし、近年ではそのようなサブカルに対する深い知識を持った店員が減少しており、結果として売り場の個性が失われています。
ヴィレヴァンが掲げる「遊べる本屋」というコンセプトは、サブカルの知識や情熱が不可欠です。それが薄れてしまうと、ただ商品を並べただけの「普通の雑貨店」になりがちです。
この変化により、かつての熱心なファン層が店舗に足を運ばなくなり、売上低下が加速しました。
経営戦略の再考が求められる
ヴィレヴァンの大量閉店は、この2つの要因が複合的に影響していることがわかります。
ショッピングモールへの進出による「ヴィレヴァンらしさ」の喪失、そして店員のサブカル知識の薄さによる売り場の魅力低下。この2つの問題に対処しなければ、今後も店舗数の減少は続くでしょう。
一方で、ヴィレヴァンは根強いファンを持つブランドでもあります。そのため、経営陣が再度「ヴィレヴァンらしさ」を見直し、独自性を取り戻すための戦略を取ることができれば、復活の可能性は十分にあるでしょう。
個性的な商品ラインナップや、サブカルを愛する人々が集まる場所としての再評価がなされれば、再び成長軌道に乗ることも期待できるかもしれません。
まとめ
ヴィレヴァンの大量閉店は、ただの経営不振というだけではなく、ブランドの根幹である「個性」と「知識」が失われたことが大きな要因です。
今後、ヴィレヴァンがその原点に立ち返り、再び「遊べる本屋」としての魅力を取り戻せるかが、再起のカギとなるでしょう。